研究分野

景観工学、土木史:岡田 昌彰[教授]

土木遺産、産業遺産に関する研究、産業景観(テクノスケープ)に関する研究

土木遺産、産業遺産は、歴史的な工場や鉱山などの産業施設、時を経て地域の宝となった橋やダム、鉄道、水道施設などの土木構造物に新たな文化的価値を見出す考え方です。当研究室では、このような「未来の文化財」の歴史的経緯や都市(地域)に対する地元民の誇り(シビックプライド)醸成のプロセス等について研究しています。また、このような人工物が形成する個性的な産業景観(テクノスケープ)の特質についても考究します。


(上)産業景観(左:砿都(石灰石鉱業都市(津久見市))/右:工場夜景(倉敷市))
(下)土木遺産(左:水道施設(金沢市)/右:旧軍事施設(国防遺産:和歌山市))

景観工学研究室

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材料力学:沖中 知雄[教授]

超高速で進行する破壊現象の解明

地震の原因となる断層の破壊や地震による構造物の破壊では、き裂と呼ばれるひび割れが急速に広がって全体の破壊に繋がります。破壊時にき裂が大きくなる速度は毎秒数百~数千メートルに達します。このような破壊のメカニズムの解明は、例えば地震時に発生する地震波の予測などに利用することができ、安全安心なまちづくりのために利用されます。き裂のように高速で進行する現象の実験では、ビデオカメラでき裂が進展する過程を連続的に撮影して検討する画像解析という手法が有効です。しかし通常のビデオカメラでは1秒間に30コマ程度しか撮影できないため、1コマで試験体の端から端までき裂が進んでしまい実験の計測ができません。そのために、1秒間に100万枚~1,000万枚撮影できる超高速ビデオカメラを使って100万分の1秒(1μ秒)、1000万分の1秒(0.1μ秒)の時間スケールでき裂が進んでいく様子を記録する必要があります。


超高速ビデオカメラでとらえた枝分かれするき裂

環境材料力学研究室

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地盤工学:河井 克之[教授]

土粒子~水~空気の相互作用をモデル化し、地盤構造物の挙動を予測する

造成宅地や道路盛土などの構造物は地盤材料でできています。地盤材料は、土粒子、水、空気から成る三相混合体で、その構成割合によって変形強度特性が変化します。砂場で山を造りトンネルを掘るためには、適度に湿った土で十分に押し固める必要がありますが、その時の砂山の挙動も、土粒子~水~空気間の相互作用が影響します。この三相間の相互作用をモデル化し、豪雨や地震などに耐え得る地盤構造物の施工方法や最適な維持管理手法を検討します。数値シミュレーションでは、施工法の効果や自然災害時の挙動を予測することができます。また、シミュレーションの予測精度を高めるために、実際の構造部における内部状態変化を知るために、物理探査なども実施しています。電気探査では、地盤構造物の表面に電極を設置し、電極間に電流を流すことで地盤構造物内の電気抵抗の分布が計測でき、その結果から地下水位や降雨浸透度合いを知ることができます。


土/水/空気連成連成解析による数値シミュレーションと物理探査

環境地盤工学研究室

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土木環境工学:嶋津 治希[教授]

環境中の微量汚染物質が人や生態系に与える影響を探る

化学物質は非意図的生成物質を含めると三千万種類以上存在すると言われていますが、それらの中には急性毒性、発がん性、生殖毒性、変異原性、アレルギー誘発性、水生生物毒性等の毒性を指摘されているものがあります。化学物質は製造・使用・廃棄工程において環境中に多量に放出されていますが、これらを適切に管理するには水環境、大気環境などにどのような物質が、どれぐらい存在し、人の健康や生態系にどの程度の影響を与えているのかを把握することが重要です。本研究室では、特に有害な化学物質の環境中濃度を把握することを重点において研究を進めています。水、大気、土壌、生物などに含まれる農薬類、多環芳香族炭化水素類などの微量有機汚染物質の実測データの収集、汚染源の特定、過去の実測データから精度良く、環境中濃度を予測するモデルの作成などをしています。有害化学物質の環境中濃度を明らかにし、適切な化学物質管理システム構築への貢献を目指しています。


化学物質管理システムの概念図

環境衛生工学研究室

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水工学:竹原 幸生[教授]

画像計測による流れ場の高精度計測法の開発とその応用

水や空気の流れは直接目で見ることはできません。水や空気の流れを理解することは人間が生活していく上では大変重要です。例えば、洪水時にどのように河川内で水が流れているのか理解できれば、堤防のどの箇所に応力が集中し、決壊防止の対策が必要なのか、等の予測が可能となります。
流れを目に見えるようにする方法を“流れの可視化”と言います。私たちの研究室では流れの可視化技術とコンピュータによる画像処理技術を組み合わせて、様々な流れ場を計測する技術の開発をしています。例えば、超高速ビデオカメラの開発、高解像度自動粒子画像追跡アルゴリズムの開発、透明体と液体の屈折率整合法、等を開発し、それらを用いて様々な流れを計測しています。


多孔体中の水の流れ計測

環境水理学研究室

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都市計画・交通計画:冨田 安夫[教授]

土地利用・交通モデルの開発と応用

都市圏内の鉄道・道路などの交通施設整備は土地利用を変化させ、交通流動や地域環境の変化をもたらす。このような土地利用・交通変化を予測する手法が“土地利用・交通モデル”である。都市縮小時代にある我が国の都市において“コンパクト・シティ”を実現するための政策立案の方法として有効である。東大阪市を対象として“土地利用・交通モデル”を用いた「賑わいのある東大阪の政策提案」をしたことがある。また、地球環境問題の軽減のために、自動車中心の交通システムから、公共交通・自転車・徒歩を中心とした交通システムへの転換が求められる。交通事業者の経営難から地方鉄道やバス路線の廃止が相次いでいることから持続可能な交通経営が必要とされている。これらの政策立案のためにも“土地利用・交通モデル”は活用されている。コンピュータ・シミュレーション以外にも都市の実態分析にも取り組んでおり、ロンドン・東京・名古屋・バンコクを対象とした土地利用および交通の国際比較研究にも関わったことがある。

都市マネジメント研究室

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複合構造学:東山 浩士[教授]

安全・安心な構造物を考える・造る・診る・治す

橋梁や道路などの構造物に関して、新しい材料や構造形式を考え、実験や解析を通して設計方法を構築することにより、安全・安心な構造物を生み出していきます。さらに、診る・治すなどの実践により構造物を維持管理していくことが長寿命化にとって重要です。
鋼コンクリート合成床版の高耐久化や軽量化を目指した新しい構造形式の開発に取り組んできました。また、鋼コンクリート合成床版に用いられるずれ止め(頭付きスタッド)の疲労設計方法を検討してきました。
さらに、道路橋床版の健全度評価として、橋面に重錘を落下させてたわみを測定するFalling Weight Deflectometer (FWD)を用いた社会実装に向けた研究を進めています。測定されたたわみから健全度評価指標を算出し、健全度評価区分から床版の健全性や損傷状態を把握します。


耐久性と軽量化を目指した合成床版の開発/道路橋床版の健全性評価

複合構造学研究室

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建設材料学、コンクリート工学:麓 隆行[教授]

X線CTと画像計測を用いたコンクリートの強度・耐久性に関わる機構の可視化と解明

使用する目的、場所、そして環境に合ったコンクリートをデザインするため、コンクリートの多様かつ複雑な内部の物性変化や使用材料の効果を明らかにする研究を行っています。そのため、主力となるX線CT装置を自ら開発し、多様な状況下での3次元画像の取得とそれを用いた画像計測を行っています。これまで、30トンまでの載荷荷重下の内部変形、900℃の高温加熱前後の内部品質変化、乾燥による内部体積変化、凍結やASRによる内部膨張過程、締固めによる内部締固め密度評価、多孔質体の空隙分布などを行ってきた。
近年、国内外でX線CTを用いたコンクリート内部の可視化に基づく考察も増えています。また、画像を取り巻く技術は画像処理や3Dプリンタなど、飛躍的に発展しており、それらの活用も期待されます。この研究が進めば、将来、構造物の定期健康診断や精密検査にも応用できる発見になるのではないかと考えています。


コンクリート内部の計測例(圧縮応力下の場合)

環境材料学研究室

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都市の微生物生態学:松井 一彰[教授]

下水のような、都市に造られた水域生態系の成り立ちと機能を解明する

都市への人口集中が加速している現代においては、下水道や都市河川のような人工の水環境が急速に拡大しています。例えば、日本国内だけでもすでに44万km以上の下水管が敷設されており、その長さは地球から月への距離(38.44万km)を凌ぎます。世界各国にて都市化が進む現在の状況は、地球上に新しい水域生態系が拡大している事を示しています。
しかし、この急速に拡大する水域生態系がどのような微生物で構成され、またどのような生態系が形づくられているかについては、未だほとんど解明されていません。そこで都市の水域に形成される微生物生態系の実態と、新しい生態系における抗生物質耐性などの遺伝子動態を明らかにする事を目指した共同研究を、国内外の研究者と協力しながら進めています。


都市に拡大する人工水域を対象に、微生物生態系の解明を目指しています

環境生物科学研究室

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水文学:高野 保英[准教授]

凍結土壌中の熱と水分の移動と凍上の発生過程を調べる

寒冷地では土壌中の水分が凍結する現象が生じますが、凍結した土壌中の熱・水分移動プロセスは、土壌からの流出量を推定する上で大きな支配要因となります。しかしながら、不凍水曲線など凍結土壌の熱および水分に関わる物性値の特性については不明な点が多く、有効な凍結土壌中の熱・水分移動解析モデルの構築に当たってそれらの同定が必要となります。また、土壌の凍結に伴い凍上などの土壌の変形が生じますが、その発生過程についても不明な点があります。土壌凍結実験において各種センサーおよびX線CTを用いて、これらの物性値の同定、土壌変形のプロセスの解明を試みています。


砂層の凍結により生じた体積ひずみ分布(鉛直断面および水平断面)

水環境計測学研究室

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海岸工学:高畠 知行[准教授]

安全・安心で豊かな沿岸域をつくる

2011年東日本大震災や、2018年台風21号による被害に見られるように、津波や高潮、高波は一度発生すると沿岸域に大きな被害を発生させます。本研究室の目的は、こうした被害から人命・社会を守り、より豊かな沿岸域をつくることです。この目標を達成するため、現地調査、水理実験、数値解析、AIやVRなどの最新の研究ツールを組み合わせ、総合的なアプローチで研究を実施しています。沿岸災害が発生すれば、できる限り現地に向かい、津波の高さの計測、被災者への質問紙調査などを行うようにしています。水理実験では、地すべり津波や津波漂流物、波・流れによる堤防の越流などを対象とした実験を行っています。数値解析では、津波避難シミュレーションを用いた将来の被害予測や、深層学習を応用した高波の発生予測などを行っています。また、VR技術を活用して沿岸域を仮想空間内に再現する試みも開始しています。これまでにない防災や水工学の教育ツールへと繋げていきたいと考えています。


最新の研究成果の事例

海岸工学研究室

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交通計画:柳原 崇男[准教授]

公共空間のバリアフリー・ユニバーサルデザインと福祉のまちづくり

わが国の高齢化率は世界で最も高く、ハード、ソフトにわたるまちづくりが急務となっています。グローバル化が進んだ今、各国でもバリアフリー化に努めており、国連の持続可能な開発目標(SDGs)でもバリアフリーは重要な位置を占めています。また、我が国の地方都市の多くは、自動車中心のまちが形成されており、自動車の運転できない高齢者や運転免許を返納した高齢者の方々は、移動手段がなく、買い物や病院など、外に出かけることすら困難な状況になっています。
そのような中、当研究室では、公共空間のバリアフリー・ユニバーサルデザインに関する研究、公共交通サービスに関する研究など実施しています。

写真 ゼミ生も参加したバリアフリーワークショップ

写真 共同開発したUDフロアシステム

福祉環境計画学研究室

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地盤工学:中島 晃司[講師]

微視的~巨視的な視点から地盤構造物の安全性を評価する

気候変動にともなう豪雨により、山の斜面といった自然地形、河川堤防などの地盤構造物の崩壊が頻発しています。土は,礫・砂・粘土など、大きさや形状、性質の異なる物質から構成されているため、力学現象に関する理論の体系化が難しい材料であるといわれています。また、降雨や河川水、または海水といった水が土の中を流れることを“浸透”と呼びますが、浸透作用が土の構造変化を引き起こす可能性があります。土の構造変化は、斜面や地盤構造物の安定性にも大きく影響するため、それらの相互関係についても詳しく調べる必要があります。しかし、水がどのように土の中を流れているのか、土の構造がどのように変化していくのかを調べるのは簡単ではありません。一方で、高精度な数値シミュレーションや画像解析技術が近年発展してきており、地盤工学への応用が精力的に行われています。そのような技術を駆使し、地盤構造物の安全性を評価する研究を行っています。


河川増水時を想定した河川堤防の模型実験(左)と写真解析による変形量評価(右)

地盤安全工学研究室

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